「あんなの職権乱用ですよね。」


ちょっと膨れた顔をしながら、安藤がやってきた。


「なんで断らなかったんですか?」


「え、ああ、別に食事くらいどうってことないから。

 そんなことで気まずくなりたくないでしょ。」


「そうですよ。だから職権乱用だって言うんですよ。」


むすっとしながら書類をめくって、


「主任、あすからの搬入のことなんですけど、

 荷受はオレの係なんです。

 荷受けしたらどこに搬入するか教えて貰えますか。」



「ああ、そうね予定より搬入数増やしてもらったから

 できるならそれぞれのバックヤ-ドに運び入れてもらったほうがいいわね。

 あ、ねえ?職権乱用かしら?どっかで食事しながら説明していいかなあ、

 お腹ペコペコなの。」




安藤は嬉しそうな顔をした。


「職権乱用上等です!むしろ仕事です。」