遥火が野乃そばを離れるのを確認してから来たのだろうか、

組合長の仲野が野乃の傍にやってきた。


「デザイナ-の方は、有名な方なのですか?」


「有名ではないですが、室長がアメリカから連れてきたんです。」


「そうですか。」


「何か?」


「昔、彼に会った気がして、あの髪の色、目の色、名前。

 高校の同級生かもしれません。」


「友達だったんですか?」


「いや、あんまりいい噂なくて、

 3年のとき突然学校を辞めたので、

 たぶん高校も卒業していないかと。」



「彼の個人情報は教えられませんが、多分その人は彼です。」