その夜、王の部屋に王子が参った。 「王、報告に参りました」 「カインか、入れ」 「ご命令通り、弟アベルを殺しました」 「そうか、ご苦労。今後とも団長として頑張りたまえ」 「……有り難きお言葉です」 「下がってよいぞ」 王子は部屋を出ると、一人静かに声も出さず涙を流していた。 そして誓ったのだ。 「顔も同じで、もう一人の自分みたいな存在がいなくなるなんて生きてる心地がしないよ。兄さん、俺も……復讐してやる」