カインはアベルに王の命令のことを話した。
もちろんアベルは、自分はそのようなことは一度も考えたことはないと否定した。
「わかっている。しかし王の命令は絶対だ。俺は団長として王子として命令を成し遂げたい」
「……ということは、兄さんは俺を殺す……のか?」
「話を最後まで聞け。……しかし、俺はお前を殺すことなんて出来ない。双子の大事な弟だ。だから……」
「…………」
「俺が代わりに死ぬ」
「…………は?」
「俺たちは双子だ。背格好や顔もほとんど似ている。いくら父上でも俺たちを見慣れていないのだから気付かないだろう」
「おい、ちょと待てよ」
「団長の仕事も副団長のお前はいつもすぐ側で見てきたのだから問題ない。武力も同じくらいだ」
「そういう問題じゃないだろ!なんで兄さんが……」
「お前が俺になれば、俺がお前を殺すという命令も背くことはない」
「人の話聞けよ!」



