王は神の言う通り、早速多くの妻から一人、追放するものを探した。
神から言われたことは


〔少なくとも男二人を産んだことのある女。その女に蛇の烙印を押し、国から追放しろ〕


という条件であった。
王の子には妻を沢山いたので兄弟も姉妹もいっぱいいる。
その中から兄弟を産んだことのある妻を追放しようと考えた。

王は思い出した。


「そうだ。そういえば最近、新しい妻に双子が生まれたな。確かまだ名も決まっていない……」


王は、まだ少女とも呼べる新しい妻を娶っていた。
そして、その妻は最近双子の男の子を産んだ。

ちょうどいいではないか。

王は考えた。


そして、王はその妻に蛇の烙印を押し、妻を国から追放したのだった。

妻である少女にとっては、突然のことで、何もしてないというのに罪人のように烙印を押され国から追放、愛しい我が子も取り上げられた。



「何故です!王様!私が何をしたのでしょうか!?何故です!返して下さい!私に子供を返して下さい!!それが許されないのであれば、せめて、せめて子供だけは命をとらないで下さい!!」



母親の悲しき訴えは、国の門の内側には届くことはなかった。