暗殺者は王の行動がわからなかった。
王はいきなり大きな鏡に向けて話し出したのだ。
鏡に映るのは愚かな王の姿。しかもその鏡に映る自分に神と呼びかけている。
どう見ても気狂いだ。
「神よ!」
〔うるさい男だな〕
「おお!!神様!私の前に暗殺者が現れたのだ!これはどういうことだ!約束が違うではないか!私を神にしてくれるのではなかったのか!?」
〔ああ、そのつもりだったさ〕
「……だった?」
〔しかし貴様は、約束を果たせなかっただろう?〕
「何を言っている!アベルは死んだ!!」
〔だから、死んでないから約束果たせてないんだろ?って言ってるだろ愚か者〕
「……死んでない?」
〔貴様はもう用無しだ〕
「待ってくれ!!どういうことだ!!おい!!」
しかし王の声は届かず、王はその日何者かによって殺されたという知らせが国中に広がった。
そして、王が死んで間もなくして新王が誕生した。
王子であった、アベルである。



