食卓にて気まずい雰囲気…。
山姥のオーラが怖い。






「お婆ちゃんどうしたの?難しい顔して。」






ずぃと顔を寄せ。
「さゆり…。祭りの日なんじゃが…。」






んん?祭り…。






「実は温泉に誘われての…。」






ははん…。そういうことか。





「いいよ。行った行った。」





「すまないねぇ…。しっかり稼ぐのじゃ!次期神主としてしっかりと!」





はいはい…。
胡麻すりしてたかと思えば…。





「まり達に巫女さんのバイトでも頼もうかなぁ。」





「いいわねぇ!」






お母さん目がキラキラしてる。祭りだから張り切るつもりね…。
超がつくほどブリブリにするはずだ。






お祭り…。忘れてたけど。





「はぁ…。」






「どうしたの?」






「なんでもない…。ご馳走様。」





いつもの通り袴か…。






「浴衣着たかったな…。」





神社の砂利の音が響き渡る。





誰かいるみたい。
窓からそっと覗いた。






参拝してる…。
何かを探すようにキョロキョロしていた…。
たぶん…。






奥からそれを探しだし、急いで追いかける。






「もしもし…。探し物はこれですか?」






目を丸くして女の子が見ていた。





「どうして…。」






坂木神社の御守り…。
神木の枝が入っている縁結びの御守りだ。





「んー。なんとなくかな?」





「ありがとう。」






「今度お祭りあるから来てね。大切な人と。」






「はい!」





花柄のスカートを翻して去っていく。
かわいらしい…。きっと浴衣を着たらもっとかわいらしい…。





花壇の向日葵を見てちょっぴり寂しくて。





「緑の君とお祭り…。」





行きたいな…。






「山姥がせっかくいないのにな…。でもなんか言ったら座禅だ、滝修行だ、浄めて来いとやれ言われるだろうしなぁ…。」




ため息しか出なかった。
とりあえず…。
お祭りあること言ってみようかな。





かた…。





向日葵が揺れる。





奥の使っていない御堂の扉が空いてる。





「誰?」






近づくも気配が消える。