帰宅したのはいつだったのか知らないで寝ていた。





声に飛び起きる。
「さゆりはおるかー!」




もはや条件反射…。
「はいはいはい!」





急いで行くと山姥…。失敬お婆ちゃんがお土産を開けていた。





がさり…。
「温泉まんじゅうね…。」





定番だなぁ。






「ところでさゆりよ。祭りはどうだった?」





ぎくり。






「えっ?えーと…。いろいろあって、かなこにバイト代とかで…。そのぅ…。」





ダッシュで逃げる。






「こらぁ!待たんかさゆり!修行に行くことにし…。」





さゆりの姿はなかった。
「最近逃げ足が早いの…。」





事件もあったせいか思ったより祭りの儲けはなかった。





逃げた先は御神木。






「クスクスクス…。」






「緑の君!」






「さゆりも大変だな。」





何処かで見てたのね。
ぷくりとほっぺが大きくなる。





「怒った?」






「怒ってない。」






「ふーん。」






ぽすりと頭に手を置かれ撫でられた。





そのまま口づけが落ちる。





帰ったら座禅かな…。
でも今はこのままで…。





御神木の回りに暖かい風が吹き抜ける。





ざわざわと葉がなる。






これから始まる何かを知っているかのように。