「いや!離して!」






赤い翼の妖しの牙が見えた。





「スーリア!僕の力を!」





食べられる!





数珠が光…。白と金がさゆりを包む。





目の前には白い大蛇が…。





「えっ?」





特撮を見ているようだった。
白い蛇が尻尾を鞭のように振るう。





赤い翼の妖しが正体を表す。赤い翼の大鳥。





「ギャア!」





叫んだ瞬間に蛇に鋭いくちばしを刺していく。
羽根の刃がさゆりに落ちてくる。





白蛇が守るようにさゆりの盾になる。





白い身体に傷が増えていく。





「!」






どうしていつも私は…。何もできないの?





段々と白い身体に力が抜けていくのを感じた。





止めとばかりに黄金の瞳に向かって鋭い爪が狙う。





「止めて!緑の君!」






ザシュ!






赤い雫が落ちてくる。





力尽きた蛇が横たわる。




「ギャア!」






どさりと何かが落ちてくる。





瞳を見開いた赤い翼の妖しだった。





「さゆりには触れさせない…。」





すとん…。と天使が降りてきた。





長い髪がキラキラと煌めいている。





爪についた血を振り払い駆け寄ってきた。





「さゆり…。」






不安な瞳…。






「大丈夫だよ…。助けてくれて…。ありがとう。」





「俺こそ…。その…。」





近づこうとして思わず倒れてそうになる。




それをいつの間にか支えられていた。





「またさゆりを…。」






あぁ…。やっぱり気にしてたんだね。





「私が…。望んでしたんだよ。それに…。」





突然白蛇が消えてしまった。
変わりに横たわる白い影…。あれは…。






「レン君?!」






「レンは白蛇の一族だよ…。」





側に寄る。





うっすらと目を開ければ「スーリア…。」





ゆっくりと頬に手を伸ばされ、
「よかった…。」






最初は酷い人かと思ったけど…。





「庇ってくれて…。ありがとう。」






頬に手を伸ばされ、
「泣かないで巫女…。君が泣くと僕も悲しい。」





「ごめんね…。いっぱい傷ついて。」





数珠を強く握りしめた。ひとつだけ金の筋が入った。