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「カーゴメカーゴメ…。カーゴノナカノトリハ…。イーツイーツデアウ…。」





歌が聞こえた。






「ヨアケノバンニ…。」





「ウシロノショウメンダーアレ…。」





振り返ってはいけない…。その歌は呪文…。





魂は鳥籠に…。
身体は何処へ?






「起きて…。ここはいけない…。その歌は聞かないで…。」






「誰?」






「さゆり様…。」






目を開ければ赤…。赤色の羽根が舞う。





「なに…。ここ?」






「ここから出ないと…。戻れなくなる。」





透けている少女。





「藤乃?」






コクりと頷く…。
「貴女に名を貰ったもの…。私には此処から連れ出す術は…。あのものなら出来る…。もうすぐ来る…。」






その時羽根が激しく…。舞う。
彼岸花が見えた。





「いけない!巫女様!」




手を伸ばすも羽根が邪魔をする。
視界は見えなくなり、赤が覆い尽くす。





「藤乃…。」






緑の君…。






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白い身体が小刻みに跳ね上がる。





その度に数珠が音をたてる。





白と金の光を放ち続けている…。





「おのれ…。邪魔立てするか!」





光が呼んでいる。






「アキラ!」





白い影が走り抜ける。





「さゆりの香り…。」





迷宮に入り込んだものは永久の迷い人…。
彼岸花が咲いている。





藤の花びらを追って着いたのは吹き抜けのような岩だらけの火山口…。あれは…。





「さゆり!」
腕を力なくだらりと下げる白い身体。





「我迷宮に入り込んだものは…。」
手が上がり羽根が刃物のように跳んでくる。





金属の跳ね返る音がした。
レンが目の前に刀を構えていた。





「スーリアを返せ…。」





笑う赤い翼の妖し。
「お前に何が出来るのだ?白蛇よ…。」





「アキラ…。彼女とスーリアの魂を探せ…。」





カチリと刀を構える。






「行け!僕が引き付ける…。」
さゆりの身体を盾にされれば不利だが…。






無言で藤の花びらを追っていく。





「返して貰う。」






「無駄なことよ…。」





さゆりの痙攣が激しくなる。