アキラ…。
どうしていつも邪魔をする。





一族全てを背負いながら…。
昔も今も変わらない。





僕は…。君を殺すよ。






月の光が降り注ぐ。
アキラの力が回復していた。
それに…。





「巫女の血か…。」






まだスーリアは覚醒していない。力を無意識に使っている。





風に乗ってアキラの爪が跳んでくる。
それを受け流しながら、首を狙う。
輝く緑の髪が数本掠れた。





そのまま突っ込んできた刃を受け止める。





「僕の結界内だよ?」





緑花蜘蛛の幻惑は使えない。





「レン…。さゆりは渡せない。」





刃と爪が音をたてながら交じり合う。






「一族を捨ててかい?」





「それは…。」






一瞬の隙が肩を貫いた。





輝く体液が零れ落ちる。





「くっ…。」






カチリ…。






「終りだ…。」






これで楽になる。






「止めて!」






さゆりが叫んだ時空間が歪んだ。





さゆりだけに聴こえた警告の声…。
そして、藤の香り。




逃げて!あいつが来る!





「「さゆり!!」」






何もない空間から…。手が伸びる。





首に手が回され引きずり込まれていく…。





二人が手を伸ばしていたけれど…。





暗闇に飲み込まれた。






最後に見たのは藤の花びら…。





「くそっ!」






地面を叩くと藤の花びらと赤い羽根が舞う。






「スーリア…。」






倒したはずのものは本体ではなかった。
それに気づかなかった…。結界に侵入されようやく気付くなんて…。





「アキラ…。立てるか。」





「レン…。」






「君の力を貸して欲しい…。」





「それは休戦ということか?」





「そういうことにしておこう…。君の追跡の力が必要だ。僕はいままで彼女の力を借りていたからね…。」





緑の君が立ち上がる。
「藤の精か?」





肩を上げてそうだと答えるレン。





「さっき、さゆりに…。何かしただろ?」





小首を傾げる。
「左手に契約しただけだよ。巫女と契約した。召喚されれば…。」





「!」
目を細める。一方的に契約したのか。