チャイムがなり、赤くなりながら慌てて席につく。





「えー突然だが転校生を紹介する…。」






この暑い時期に珍しい。転校生だなんて…。






さゆりはそう思ったが直ぐに別の事を考えた。ハウスの植物に水をあげないと…。肥料買わないとな。なんて…。
だから転校生のことはあまり覚えていなかった。





お昼にかなことまりにじゃんけんで負けてイチゴミルクを買いに自販機に行く。
中庭は日陰で涼しく、藤棚が円形に植えてある。




階段に座って眺めていた時だった。






「スーリア…。」





驚いて立ち上がる。後ろを振り返ると、誰かいた…。





日光が眩しくて立ちくらみ、ブラックアウトする。





イチゴミルクのパックが二つ落ちた。





「大丈夫?」





顔が見えない。






拾ったイチゴミルクを奪われ…。
「ご馳走様。」





なっ…。誰?





「また…。」





ん?また?
訳がわからないままイチゴミルクがさらわれた。




仕方ないのでまた買って教室に戻る。
遅いと二人に言われごめんねと渡す。





「そういえば…。最近どーよ?」





「へっ?」





「「またまたまた~!」」




あぁ…。始まったよ。妄想ハモりコンビめ…。





「なっなにもありませんよ。」





イチゴミルクをチュー…。と吸いながら二人は悪い顔を見せる。




嫌な予感…。
「さゆりの家に泊まっていい?」





「えっ?いいけど。」





ガッツポーズで二言目
「肝試しかな?百物語がいいかな?」





「…。」
やっぱし…。





神社だから雰囲気ちょーいいらしい…。
普通はお寺では…。
まっいっか…。






これがいけなかった。後で後悔することになるなんて夢にも思わなかった。





遠くの方で視線を感じたけれど気のせいかな?






「どうしたの?」





「ううん…。大丈…ぶ!」
顔に何かあった。






「スーリア!」





ガッチリ手を握りしめ花束が目の前にあった…。
「はっへ?」





走り去る人?何?
思考が止まる。






「おぉー!これはこれは!ベタね。」





「いいなぁ。かなこも欲しい~。」