学園に入ると異様な感覚が漂っていた。






五感の鋭いものなら直ぐわかるだろう…。





気配が消えては濃くなる。





もう夜も迫り、部活をしている生徒もいない。
誰もいない学園は静まり返っていた。






軽々と宙を舞い学園に入る。
屋上から辺りを見回した。





そのまま糸をたらしながら行きよいよく中庭に降り立つ。





はらはらと落ちる。薄紫の花びらが見えた。






「遅かったな…。アキラ。」





「やっぱりお前か…。」





金色の瞳を睨み付けた。




「それはこちらのセリフだな。」






妖気が漂っていた。






「人間には近づくな…。」





爪が延び戦闘体制に入る。
「そっちもな…。」






飛び上がり狙いを定めた瞬間。金色の目がほくそ笑む。





動きが一瞬止まった。






藤棚の中に囚われる白い肌が見えた。






怒りで牙が伸びる。
「貴様…。」






「スーリアには手を出すな。」





「蛟の一族がこんなことをしていいのか!」






「アキラそれは…。君の勝手な言い分だ。使えるものは使う。君は使える側だろう?」






金色の瞳はさゆりを撫でる。





「止めろ!」






飛び出した瞬間。
金色の瞳が輝き、藤蔓が襲いかかる。





爪で切り裂きながらかわしていく。






「スーリア…。巫女…。あの哀れなものを見てごらん…。」






藤蔓が爪を封じる。
「くっ!」






藤蔓が体を拘束していく。





「さゆりに何かしてみろ!八つ裂きにしてやる…。」





唸る蜘蛛を笑っていた…。





「獲物を取られて屈辱か?」






「人間には…。」






金色の瞳が輝く。
「こうしよう…。君がその拘束を取ろうとすれば、逆に巫女の拘束を強くしよう。」






クスクス…。






「さぁ、君はどちらを選ぶ?」






噛み締めた口から血の味がした。






もがけばさゆりの拘束が強くなる。






すでにはだけた袴に蔦がくい込み、巻き付いている。
首元に蔦が這っていく。




「くそっ…。」






元からこの藤には力が強い何があった…。
さゆりが手入れをしていた…。