神社の林を走り回って探していた。






どうやら奴等がここに来ているらしい…。気配が残っている。





自分が張り巡らした無数のトラップには引っ掛からなかったらしい…。





「血のニオイがする…。」





何が…。






「!」






子どもが血まみれで倒れていた。近づくがもう…。





気配が一瞬濃くなった。
何処にいる?!






恐らくあちらも気配に気づいているはずだ。






がさがさ!






誰か来る…。






急いで木ノ上に身を潜めた。






この香り…。






「さゆり…。」






悲鳴が聞こえた。






近づこうとした時だ…。奴等の気配が…。






それでも見つけられない…。





自分が非力なのは知っている…。





それでも。






「さゆりは守る…。例えそばにいられなくても。」





祭りは終わり花火が上がった。






気配が消えては濃くなる繰り返し…。






そして、とても濃くなる。





「学園からか…。」






さゆりとの約束に間に合わないかもしれない…。





学園に向かう緑の疾風があった。






「緑の君…。」
うなされる…。
あぁ…。またこの夢なの…。止めて…。恐い。





かなこはさゆりの汗を拭いていた。
「?」






腕の数珠が仄かに光る。





まるで警告のように。







クスクス…。






クスクス…。






ずずずずず…。






バサバサバサ!






綺麗なワンピースは赤く染まる。






「いやぁぁぁ!」





「さゆり?!」






カタカタ震えていたのをかなこはしっかり押さえた。





「さゆり!しっかりして!」






泣いては震えていた。






さゆりは自分の部屋に閉じこもる。






祭りの終わりを告げる花火が上がった。






それを合図にさゆりは外に出る。