「さゆりー!」






まっまずい!





慌てて平静を装い…。






「何処か行ってた?」






ギクッ…。かなこ意外とと鋭い。





「ちょっとトイレに…。忙しいのにごめんね。後は私がやるから休憩して。奥に祭りのお菓子とかご飯あるから食べて。」





「お菓子!林檎飴ー綿飴ーたこ焼き!」
嬉しそうに小走りに去る友よ…。





よかったかなこが食べ物に目がなくて。





がさがさ!






「!」





向日葵が揺れている。





飛び足してきたのは…。
「またなの?小豆に大豆。」





でも様子が変だった。
「どうしたの?」





抱き上げるとぶるぶると小さく震えていた。アズキはともかく…。
ダイズまで…。巨体のボス猫がこんなに…。
大抵のことに大豆は動じない。





「向日葵?」





何故か…。
とても嫌な予感がした…。






頭に浮かんだのは古い御堂…。





そのまま、御堂に向かう。





御堂の近づく。向日葵はきっと…。全てを見ていた。





「キャー!!」





足が震えていた。





可愛いらしい花柄のスカートが見えた。
赤く染まった花柄のワンピース。
握りしめられた御守り…。きっと大切な人と逢うはずだったのに。





楽しいお祭りは一変し、警察が来て…。
私は…見たままを話した。





きっと…。小豆と大豆は見てしまったのだろう。
向日葵畑の中で…。きっと。





祭りの音が妙に大きく聞こえた。





緑の君…。
何処に行っちゃったの…。





「サカキさん…。」






白い服が提灯の灯りを反射していた…。





「レン君…。」






「顔色が悪い。大丈夫か?」





「ちょっと…。疲れたみたい。レン君…。あの。」




「休んだ方がいい。」





ひょいっとそのまま抱き上げて…。





「さゆり?!どしたの?!」





「休ませる。部屋は何処?」





「こ…。こっち!」





かなこはさっきまで自分がくつろいでいた所に案内した。





「頼んだよ。」
白い服が翻って綺麗だった。





「はい。」
かなこは看取れてしまった。





白い服は祭りの中に消えていく。