出店が立ち並び、赤い提灯がいくつも並んでいた。





盆踊りの舞台とか太鼓とか準備が進む中に。





「しっかり頼んだ。」






山姥のプレッシャーが…。





笑顔を貼り付け、
「行ってらっしゃい。」




「そういえば…。最近変わったことはなかったかの?」





変わったこと?






「別に…。ありません。」





「そうか、くれぐれも用心するのだぞ。しっかり稼ぐのじゃ。」





一番の稼ぎ時にいないくせにぃぃ!
なんて鬼には言えず。






「行ってらっしゃい遅れるよ。」






山姥は去っていく。






「ふぅ…。」






辺りが暗くなり始め、夕闇にお囃子が聞こえ始める。





楽しそうな声が聞こえた。
「ありがとうございました。」
また御守りが売れていく。
これで山姥に怒られることはないだろう。





ふと絡み合う二対の神木を見上げた。





口元に指を当てて、落ちる人影。
「緑の君…。」






「今日は祭りだったのか…。」





「肩…。」






傷が見えた。






「なんでもないよ。さっき枝に引っ掛けた。」





さらっと言うと腰に手を回し…。





「ちょっと息抜きしようか。静かに…。」





「えっ?」





ドキドキしてるうちに抱えると神木の上に飛び上がる。





夕焼けが綺麗で…。神木の上に来たことはなかったから。





「うわぁ綺麗。」





キラキラ光る神木のコケに景色が綺麗で…。





緑の君の髪がキラキラ光っていた。





そのまま、さらさらの髪が私にかかり…。優しくキスが降りてきた。





短いような長いキスに酔っていく。時間が止まってるんじゃないかと思うくらい。





「そろそろ戻ろうか。」




直ぐに返事ができなくって手を握りしめ。
「浴衣…。着てたらよかった。」






クスクス…。
「そのままで可愛い。」





顔が火照る。





「もっもう戻る!」






「夜まで…。待ってる。」





そう言った。
降ろして消える。






「緑の君!」






なんか…。いつもと違う。それに久しぶりなのに…。