「君も人間が嫌いなんだろう? だから、君も僕らの計画に賛成だよね」
セリシアがディオンに言う。
ディオンは、黙り込んだままだった。
そんな彼の様子に、セリシアの顔から笑みが消えた。
「セリシア、そんな計画はやめるんだ」
フェイが言う。
「どうして? 人間が消えれば、この世界は永遠に平和なんだよ。……ああ、そうか。君は死にたくないんだね」
「それは誰もが思っていることだろう」
ふーん、と言って、セリシアは続ける。
「そういえば、今アウリスは大変なことになっているらしいよ」
「なんだと?」
「僕ら双子を捕まえられないから、ダスティが痺(しび)れを切らしちゃってさ、レクスから人工精霊の研究資料を奪い、自ら人工精霊を生み出そうとしてるんだよ」
長年研究をし続けてきたレクスですら、完璧な人工精霊など造れやしないのに、ましてや素人が造り出せるはずがない。
「ただ、ダスティの方法はレクスと少し違うんだ。レクスはガラスケースの中で人工精霊を生み出していた。けれどダスティは、それを生きた人間の中で行おうとしている」
その人間の魂を喰わせながら、人工精霊を成長させていく。
レクスよりも卑劣なやり方だ。


