「考えが甘すぎるんだよ、元騎士さん。人工精霊を消したいのなら、躊躇(ためら)わずに僕らを殺せばいい」
「けれど、お前たち双子が悪いわけじゃ……」
双子の人生を狂わせたすべての元凶は、レクスだというのに。
「君は考えが甘すぎる上に、優しすぎるねえ。その優しさが、この世界の破滅を招くんだよ」
言い返す言葉が、出なかった。
「ちょっと! フェイはあなたたち双子のためを思っているのに、そんな言い方はないでしょう!」
フェイの代わりに、アンネッテが叫ぶ。
「僕たちのためだって?」
セリシアは鼻で笑った。
「そんなくだらない情けなんて、いらないよ」
それはひどく恐ろしいほどの、怒りを含んだ声。
セリシアから放たれる人工精霊(ワイバーン)の力が増した。
ぴりぴりと、それを肌に感じる。


