世界の終わりに、君は笑う





黒猫は森の中へと入っていく。
ディオンたちも後を追って入っていった。
しばらく歩き続けると、ふと悪臭が漂う。

「あれは……」

目に入ったその惨憺(さんたん)たる光景に、アンネッテは、うっ、と口元を押さえ、目を逸らした。
フェイは眉を顰(ひそ)めている。
ディオンは、相変わらず顔色一つ変えていない。

三人の死体に群がる、屍肉喰らい(フレッシュイーター)。
まるで人間のような姿だが、彼らの歯と爪は、肉を簡単に引裂けるほど、鋭い。
死体の腕や足を千切り取り、それを貪(むさぼ)っていた。

黒猫が唸り声を上げるやいなや、フレッシュイーターは逃げ去る。
といっても、木々の間から顔を覗かせ、黒猫が通り過ぎるのを待っている様子だ。

「アンネッテ、大丈夫か?」

フェイが彼女の肩に触れる。アンネッテは顔面蒼白だった。
ゆっくりと頷き、目を逸らしながら、無残な死体の横を通り過ぎる。

最後にフェイがそこを通り過ぎるやいなや、再びフレッシュイーターは死体へと群がり、屍(し)肉(にく)を喰いはじめた――。