「奴が国民に向けている姿は、偽りに過ぎない」
「…どういうことだ」
「アウリスの国王であるダスティは、裏の組織――レクスと関わっている」
「レクス?」
ああ、とディオンは頷く。
「このミスティックワールドに存在し、すべての国に共通している掟を知っているか?」
「人間を造らない。死者を蘇らせない。そして、人工精霊を生み出さない。この三つだろう」
「そうだ。じゃあどうして、それらは禁じられていると思う?」
「……それ相等の対価を必要とし、極めて危険なため、と聞いているが」
その通り、と言って、ディオンは続ける。
「実は、もうひとつ理由があるんだ」
「それは?」
「人間には、新たな生命を造り出すほどの強い力を持っていないため」
この世界に存在するほとんどの人々が、魔力を持っている。けれどそれは、限られた量にしか過ぎない。


