「……どうする?」
フェイが訊く。
「――ついて行きましょう」
ディオンが口を開(ひら)ける前に、アンネッテが言った。
ついて行けば、あの獣を生み出した主(あるじ)が分かるかもしれない。
決してディオンなんかじゃないわ。
けれど、アンネッテはそう確信出来る自信がなかった。
「……君は、彼らに会いたいんだね」
ディオンが小さく呟く。
それはアンネッテの耳に届いていた。
「ディオン、今なんて……」
その言葉を無視するかのように、ディオンは黒猫の後を追いはじめる。
「どうしたんだ、アンネッテ」
表情が強張(こわば)っているせいか、フェイが心配した。
「何でもないわ……行きましょう」
ディオン、あなたはあの獣について、何か知っているの?
それに、〝君〟って、一体誰のこと?
いくら考えても、答えなど出なかった――。


