「けれど、仮面までつける必要はないだろう? 精霊使いだと表すその証(あかし)さえ隠せば、そこらの者たちとなんら変わりないじゃないか」
「……精霊使いにもいろいろ事情ってものがあるんだよ。それより、僕が敵でないことはもう分かっただろう? そろそろ行かせてもらうぞ」
フェイの横を、少年は通り過ぎようとする。
「宿(やど)はあるのか?」
「ないけど」
「だったら、俺の家に来ればいい」
「は? どうして」
ぴたりと少年は足を止めた。
「狙われている身なんだろう? そこらで寝るより、俺の家に来た方が安心だと思うけど?」
「……わかった」