「残念だが、彼らが今どこにいるのかは分からない。すまないな……」

そうですか、と肩を落とした。

 やはりそう簡単に見つけ出そうなんて、甘い考えだよな。

「双子の名前は、知っていますか?」

「…彼らに名前なんてないの」

アンネッテが答えた。

「名前がない?」

「ええ。レクスの者たちは、どうやら双子のことを〝Ⅰ(ファースト)〟〝Ⅱ(セカンド)〟と呼んでいるそうなのよ。〝Ⅰ〟が兄で、〝Ⅱ〟が妹だわ。そしてレクスは、先に〝Ⅱ〟を手に入れたがっているの」

「なぜ?」

「それは私にも分からない……」

「そうか……いや、でも新たに分かったことがあって助かったよ。ありがとう」

がた、とディオンが立ち上がる。
心なしか、様子が少し変だ。

「どうした?」

「……少し外の空気に触れてくる」

足早に家から出て行ってしまう。フェイだけでなく、その家にいたエルフの者たちは首を傾げた。