世界の終わりに、君は笑う




「突風といい炎を纏(まと)った巨人といい……さっきのは一体なんだったんだ?」

フェイが訊ねる。

「私たちを助けてくれたのは風の精霊(シルフ)様だよ」

ディオンが答える前に、子どものエルフが言った。

「四大精霊の一人――シルフか」

風を生み出しながら、あのときシルフが現れた。
そして子どもたちを包み込み、レクスから離したのだ。
普通の人間は精霊が見えない。それをうまく利用したということだ。

「あの巨人は?」

「炎の魔神(イフリート)――火の精霊を述べる精霊王だ」

今度はディオンが答える。

「イフリートは俺の目にも見えた。なぜだ? 人間は精霊の姿が見えないはずじゃ……」

「精霊使いの力のおかけだ」

長老が口を挟む。

「精霊使いが召喚した精霊は、人間の目にも見えるのだよ」

 そうだったのか、知らなかった……。

「ディオン、と言ったかね。お主、余程の力を持っておるな」

精霊使いといっても、容易くどの精霊でも召喚出来るわけではないというのに。
ディオンは、何も答えなかった――。