炎を纏った巨人が、魔方陣から姿を現す。鬼神とも言うべき恐ろしい顔をしていた。
フェイの目にも、それははっきりと見えている。
「イフリート、奴らはエルフの魂を奪おうとした忌々しい人間だ。奴らをじわじわと灰にしてしまえ」
巨人は火の塊へと姿を変え、勢いよくレクスの者たちに襲い掛かる。
「ぎゃあぁぁぁ!」
炎に包まれているのにも関わらず、なかなか男たちの体は焦げていかなかった。
足のつま先から少しずつ、灰になっていく。
「全身が灰になるまで、その苦痛を味わうといい」
残虐であるその光景に、エルフたちは目を背ける。
フェイですら目を背けたその光景を、顔色一つ変えず、ディオンはずっと眺めていた。
レクスの者たちが灰となり消え去った後、火の塊も姿を消した。
フェイは何がなんだったのか理解が出来ず、その場に立ち竦(すく)んでいる。
「くっ……」
胸元を握り締めながらディオンは呻(うめ)き、膝をついて蹲った。
仮面を取り、左目を覆いながら額を押さえる。
くそ、奴らが使った〝電波〟のせいで、ヤツが――……。


