「それは、この前の……! やめろ!」
駆け付けた長老が、叫ぶ。
「苦しみやがれぇぇ!」
長老の言葉など耳にせず、レクスの者は、起動ボタンを押してしまった。
「うっ、あぁぁぁぁ!」
エルフの者たちが耳を塞ぎながら、苦しみ出す。
「……ッ!」
エルフたちまでとはいかないが、ディオンもまたひどい頭痛に襲われる。
フェイだけが、何も影響を受けていなかった。
「これは妖精にしか聞こえない電波であり、そして同様に苦しませるものさ! これさえあれば、妖精など屁でもな……」
笑い叫んでいた男の首が、飛んだ。
「俺を忘れるな」
剣についた血を振り払い、地面に落ちたその機械を壊す。
エルフたちの喘ぎ声が治まった。ぐったりとしている様子だ。
「……お前らにも、苦痛を与えてやる」
低い声が耳に入った。フェイは動きを止め、声の主に目をやる。
「…ディオン?」
彼を中心とした魔方陣が、紅い光を放っていた。


