世界の終わりに、君は笑う




「先に子どもたちを解放しろ」

「生意気なことを言うんじゃねぇぞ。お前の身柄を確保するまで、餓鬼らは解放しない」

 コイツら、子どもたちを解放する気なんてさらさらないな。
 下種(げす)どもが……調子に乗るなよ。

「シルフ!」

ディオンが叫んだ、その刹那――突風が吹く。

 いまだ!

咄嗟に、フェイは走り出す。

「な、なんだ!」

レクスの者たちは慌てふためいている。
エルフは別の意味で、驚いていた。

「ぎゃあぁぁぁ!」

図太い男の腕が斬り落とされる。

「許さねえ!」

もう片方の腕を使い、フェイに剣を振り下ろす。
しかしそれを容易くかわし、すかさず男の首を斬った。
噴きだした相手の血が、頬に飛び散る。

「人質を渡すな!」

眼鏡をかけた男が咄嗟に指示を出すが、時すでに遅し。

突風に煽(あお)られ、子どもたちの体は宙へと浮かぶ。
まるで自身で動いているかのように、その風は子どもたちを大人のもとへと引き連れた。

「一人も逃がすなよ、フェイ」

「分かってる」

次々とフェイは敵を斬り倒していく。残りが数人となったとき、一人の者がある物を取り出した。