「おい、はやく長老を連れて来い! 餓鬼どもを殺してもいいのか?」

図体のでかい男のドスの利(き)いた声に、幼いエルフたちは体を震わせる。
眼鏡をかけた男は、後ろでニヤニヤと笑っていた。

「子どもたちを解放しろ!」

フェイの声に、あ? とレクスの者たちは目を向ける。

「お前はフェイ・ブランデル……なぜ、こんな所にいる? ダスティの企みを知り、地下牢に繋がれているはずでは……」

眼鏡をかけた男の眉間にしわが寄る。

「さあ、どうしてだろうな」

「…お喋りはそこらで終わらせろ、フェイ」

ディオンが口を挟む。
仮面をつけているせいで表情は分からないが、不快そうにしているに違いない。

「仮面をつけるなど小賢(こざか)しい奴め。俺たちはエルフに用があるんだ! 関係のないただの人間は引っ込んでやがれ!」

図体のでかい男が怒鳴る。
ただの人間、か……、と呟いた声は、仮面の中で消えた。