「子どもより大人の魂の方がいい、と奴は言ったのだ……」

『全ての大人の魂を渡せば、餓鬼どもの命は見逃してやる。しかしそれが嫌だと言うのなら、コイツらの魂をもらう』

レクスが与えた選択肢は、あまりにも残酷だった。

「子どもたちには、まだ親が必要なのだよ。……全ての大人を犠牲にしてはいけない。しかし、そうすれば子どもたちの命が……」

どうすればいいのだ、と嘆(なげ)く。

「忌々しい人間どもめ……許さない」

ディオンの声は、とても冷たいものだった。

「フェイ、奴らから子どもを取り返すぞ」

「ああ、当たり前だ」

卑怯な手を使うレクスの連中が、腹立たしい。

「しかし、どうやって……」

長老が口を開いた、その刹那――勢いよく扉が開(ひら)かれた。

「長老さま! レクスの奴らが来ました!」

「くっ……もう来たのか」


ディオンとフェイはすぐに立ち上がり、走り出す。