「フェイさんは、なぜダスティ様がレクスと関わっていると気付いたのですか」
長い廊下を歩きながら、ビヴァリーは訊(たず)ねた。逃げるタイミングを見計らいながらも、フェイは答える。
「とある旅人から聞きました」
「そうですか……」
ぴたりとビヴァリーは立ち止まる。つられるように、フェイもまた足を止めた。
「フェイさん、私はあなたと同じです。ダスティ様の考えを良いとは思っていません」
「けれど、先ほどは……」
「あれはダスティ様にあわせているだけです。あなたを地下牢に入れるというのは嘘です。フェイさん、ダスティ様が気付く前に、早くこの国からお逃げなさい」
「けれど……」
「私がうまく誤魔化しておきます。心配はなさらないで下さい」
そう言われても、やはり不安を隠せない。


