世界の終わりに、君は笑う




「我はお前に失望した。支配する素晴らしさを分からぬお前など、愚民に過ぎぬ! ビヴァリー、ビヴァリーよ!」

「どうなさったのですか、ダスティ様」

やって来た側近であるビヴァリーは、顔を紅潮させている国王を目にして、驚きを隠せない。

「今すぐこやつを殺(あや)めるのだ!」

「お、落ち着いて下さいませ、ダスティ様。なぜ突然そのようなことを……」

「こやつは我の敵だ。敵は殺すべき者であろう」

「ですがダスティ様、今此処でフェイさんを殺してしまえば、国民は動揺します。アウリスを不安の渦に巻き込ませてしまえば、ダスティ様の計画はうまくいかなくなってしまいます」

うっ、と国王は怒鳴るのをやめる。

「…人工精霊が目覚めるまで、フェイさんは地下牢へ入れておきましょう、ダスティ様」

彼は何も答えない。フェイを殺すことが出来ず、悔しいのだろう。

「フェイさん、こちらへ」

 地下牢へ入れられるのは嫌だが、殺されるよりはましか……。
 けれど、陛下の企みを放っておくわけにもいかない。
 此処で逃げようとすれば、衛兵を呼ばれてさらに逃げにくくなるな……。

 地下牢へついて行く振りをして、隙を見て逃げ出すしかないか。
 しかしまさか、側近であるビヴァリー氏も陛下の思惑を知っていたとは。

「早く来なさい」

しぶしぶフェイは立ち上がり、その部屋から出て行った――。