世界の終わりに、君は笑う




「だが双子は五歳のとき、研究室から逃げ出した。十年経った今でも、レクスは未だその双子を捕まえることが出来ていない。一刻も早く双子を捕まえなければならない。でないと、もう残された時間は少ないのだよ」

ふと先ほどすれ違った男の顔が、頭を過った。

「まさか、あの男は双子を捕まえるための、傭兵ですか」

一体何が面白いのか、大口を開けて、国王は笑う。

「お前は本当に頭の回る奴だ。だが、あの者だけでは時間がかかってしまう。そこでだ、フェイよ。お前も我と手を組み、双子を捕まえてきてはくれぬか」

「……御冗談はよして下さい、陛下」

「冗談などではない。我は本気だ」

 ああ、本当に、ディオンの言う通りではないか。
 はは、とフェイは小さく笑う。

それはまるで、自身のことを嘲笑っているかのようだ。

 今まで彼に敬服してきた自分が……馬鹿馬鹿しく、呪わしい。

「私は、もうあなた様にお仕えするなど出来ません」

「戯言(ざれごと)を言うな。お前には、世界を支配したいという思いはないのか」

ええ、まったく、と答える。
すると国王は血相を変えた。