世界の終わりに、君は笑う




「その胎児が双子だったのだよ。ゆえに漆黒のワイバーンの力は、ふたつに分かれた」

「ですが、それでも胎児は化けモノの力の影響を受けているはずでは……」

「驚くべきことにその双子は選ばれし者、つまり精霊使いだったのだよ。双子、そして精霊使い。この偶然が重なり、奇跡的に胎児は生き延びることが出来たのだ」

犠牲となり、人工精霊と共に死んでしまった方が双子にとって幸せだったのかもしれない。
精霊使いは稀(まれ)な存在。
それゆえに、レクスはその存在を手に入れたがっていた。

そして、今度こそ世界を支配することが出来ると期待された漆黒のワイバーンが、二人の中で眠っている。
そんな双子の子を、レクスは手放そうとはしなかった。

「その双子は外に出ることも許されず、一室に閉じ込められた。そしてレクスは二人の身体(からだ)を研究し続けたのだ」

「なんて可哀想なことを……」

無垢(むく)な心を持つ幼き二人にとって、監禁されることは、どれほど辛いことだっただろうか。