世界の終わりに、君は笑う




「全ての人間を消して、僕らは人工精霊と共にこの世界から消える。けれどもう一度精霊となって、この世界に誕生してみせる。そのときは、もう人間に邪魔をされず、幸せに過ごすことが出来るんだ」

( ディオン、今どこにいるの )

心の中で、セリシアが話かけてきた。

あの森の中だよ。
あの人間とエルフの女、僕らの過去を視て此処まで来たんだ。
君の代わりに、今から僕がこの二人を片づけてあげるよ。

( フェイと、アンネッテを…… )

刹那――セリシアの感じている思いが、ディオンの心にも伝わる。
けれどセリシア本人は、自分が何かを感じているだなんて気付いていない。

いや、本当は気付いているのかもしれない。
けれど彼女がそれを、口にすることは出来なかった。