「今度こそ成功かと思われた人工精霊だったが、ヤツも失敗のひとつになってしまった」

残念そうに、深いため息をつく。

「まだ成体になってはおらぬのに、ヤツは目覚めてしまったのだ。ガラスケースを破壊し、ヤツはその研究室で暴れ、瞬く間にそこは火の海となり、また血の海ともなったそうだ」

やはりディオンの言っていたことは、全て本当だった。
人間の不十分な力によって造られたモノには、問題が多すぎる。

完璧なモノなど、造れやしない。

そう分かっていても、世界を独裁したいがために、レクスは人工精霊の実験をやめようとはしないのだ。

「だが所詮は幼体。一定の力を使ってしまえば、疲れ果てて深い眠りに入ってしまった」

フェイの背筋に、冷や汗が流れる。