( これを薬にして飲ませるの。今日は絶対安静よ。きっと明日になれば、もう大丈夫 )
そうか、と言って、フェイは安堵の胸を撫で下ろす。
薬草を使って薬を作りながら、グウレイグはちらりとフェイを見る。
( あの精霊使いは、どうしたの? )
「……アイツは、もう一人のもとへ行ったさ」
( じゃあやっぱり、あの精霊使いは双子の片割れだったのね )
小さな羽根を持った何人かのピクシーもまた、グウレイグの手伝いをする。
手を休めることなく、彼女は再び口を開(ひら)ける。
( ねえ、あなた知ってる? 〝精霊使い〟って、元は精霊だったのよ )
え? とフェイは目を見開ける。
( 人魚(メロー)たちの歌によればね、人間を守ろうとし、代わりに己が消えてしまった精霊だけが、人間となって誕生するらしいの )
精霊が持つ知識、そして不思議な力を受け継いで、人間として生まれてくる。
けれど、精霊だったときの記憶だけ、忘れてしまうのだ。
「精霊が人間と関わろうとするなんて滅多にない……。それに、余程のことがない限り、精霊が消えることなんてない。……だから〝精霊使い〟が稀(まれ)なのは、必然的な結果なのか」
だったら、ディオンもセリシアも、人間を守ろうとして――……。