世界の終わりに、君は笑う




「ああぁぁぁ!」

彼女の悲鳴が、部屋の中に響き渡る。
何度も何度も、途絶えることなく、血を吐き続けた。

ディオンもセリシアも、言葉が出なかった。
苦しみ続けている彼女を余所に、他の者たちはじりじりと双子に近寄って行く。
ディオンは、セリシアを背中に隠す。鋭く、奴らを睨みつけた。

「……許さない」

セリシアが呟いた、その刹那――黒い霧のようなものが、少女に纏(まと)う。

「お前らなんて、死んでしまえばいい」

黒い霧は集まり、次第にそれは一匹の狼となる。
オッドアイを鋭く光らせながら、唸り声をあげた。

「アイツらみんな、喰っちゃっていいよ」

言い終わるやいなや、漆黒の狼はレクスの者たちに襲い掛かる。

 セリシアの中にある人工精霊の力が……憎しみで暴走してるんだ。

ディオンは胸の内で呟いた。