此処にいれば、セリシアの体に負担がかかることは何もない。
それに、もしかしたら……感情を取り戻すかもしれない。
また、あの笑顔を見ることが出来るかもしれない……。
僕はもう一度、君の笑顔を見たいんだ。
その切実たる願いは、叶うかもしれない。
初めて、ディオンはそう思えた。
狭い部屋に閉じ込められ、希望の光など一切なかったあの日々とは、もう違う。
僕らは、もう奴らから解放されたんだ。
もう苦しむこともなく、平和に過ごすことが出来る――。
そんなことすら、思えた。
けれどその思いは、あまりにも簡単に、崩される。


