「とある旅人からです」

「お前以外に、そのことを聞いた者は?」

「おりません。国民で知る者は、おそらく誰一人いないでしょう」

ふむ、と国王は息をつく。

「その秘密を知られたからには、仕方あるまい。フェイよ、我はお前を殺さねばならぬ」

どくん、と心臓が大きく脈打つ。
心の中で、何かが崩れたような気がした。

「しかし、我とてお前を殺してしまうのは惜しい。なんせお前はこの国一番の騎士なのだからな。そこでどうだ、お前も我と手を組まないか」

フェイは目を見開ける。

「……人工精霊は、まるで化けモノのようだと聞きました」

「世界を支配するほどの力を持っておるからな、そう呼ばれても可笑(おか)しくはない」

「そんな化けモノが存在してしまえば、アウリス国民だけでなく、他の国の人々にまで、被害を与えてしまいます」

「知ったことか。我がこの世界を支配することさえ出来れば、それでよい」

国王は鼻で笑う。フェイは、言葉を失った。
陛下は国民を一番に考えているのだと、今まで信じ込んできた自分が愚かに感じる。