「奴らの実験のせいで……!」

彼女の顔から、表情というものが消え去った。
昨日までの笑顔は、いとも簡単に、奪われてしまった。

「どうして、泣いているの?」

女の子が訊く。
悲しいという感情まで奪われてしまったのだと気付けば、彼の瞳から、さらに涙が零れ落ちた。

「君の方が、辛い実験を受けているんだよ。……今日は、どこに傷をつけられたの?」

「背中と、お腹……」

見せて、と彼女は言う。
男の子は、服を胸元まで上げた。

「今日は、火でやられたんだね」

彼の腹部、そして背部には赤く腫れあがった、見ているだけで痛々しい、真新しい火傷の痕がある。
火傷の痕以外にも、男の子の体中に、傷痕があった。

「人工精霊は治癒能力などほとんど持っていないのに……それでも奴らは、この実験をやめようとしないんだね」

「うん。明日は、どれほどの電流に耐えられるかの実験だと言っていたよ……。君はまた、心の中に入られる実験なの?」

うん、と女の子は答える。
彼は悔しそうに、唇を噛み締めた。