世界の終わりに、君は笑う




「フェイ……お前はとても正義感の強い奴だ。だからお前は、裏の組織と手を組むダスティのことを、国民を騙し続けていた奴のことを、許せるわけがなかった」

ディオンから話を聞いたフェイは、明らかに動揺していた。
それもまた、ディオンの計算通りだったのだ。

「怒りの感情に流され、お前はダスティを殺す……それさえ達成していれば、僕の計画は成功だったんだよ」

けれどフェイは、ダスティを殺さなかった。
極力目立ちたくなかったディオンにとって、フェイがダスティを殺すことは、邪魔者を消す方法の中で、自分にとって一番安全なものだったのだ。

〝役立たず〟――そのときは、強くそう感じた。

「もし僕の計画が成功していたら、国王を殺した罪として、お前は処刑になる。そうすれば、僕ら双子の存在を知った新たな邪魔者を、いとも簡単に消すことが出来る……。けれど結局お前は処刑されるどころか、地下牢にも入らなかった」

再び出会ったそのときに、さっさとこいつを殺しておこうと思ったが、まだ、利用できることに気がついた。