「プラチナブロンドの髪に、サファイアブルーの瞳。そして精霊使い……。アイツはまさしく双子の片割れだ!」
ディオンは、何も口を挟まない。
「……嘘を、言うな。ディオンの額には、漆黒の紋章がないんだぞ!」
声を上げたフェイの様子を見て、また、エルヴィスは笑う。
「フェイ・ブランデル。お前は、馬鹿だな」
爆薬を二つ取り出し、ディオン目掛けて投げつける。
「ディオン!」
咄嗟に庇おうと走り出したが、間に合わなかった。
ものすごい爆音に、地響きがする。
衝撃で吹きつけられた砂ぼこりに、フェイは腕で顔を覆った。
次第に砂ぼこりがおさまっていく。
ディオンがいるところは、未だ灰色の煙に囲まれていた。
「ディオンは魔力を持っていないのに……!」
切れてしまうほどに、強く唇を噛み締める。
防御魔法を使わずにあの爆撃を受ければ、命を落としてしまう可能性が高い。
俺は、あいつの護衛なのに!
くそ! と小さく叫ぶ。
「フェイ、一体何が起こっているの!?」
騒ぎに気付いたアンネッテが、まだ痛む頭を押さえながら、やって来た。
「ディオンが、ディオンが……」
それだけしか、言えなかった。


