世界の終わりに、君は笑う





「ここまでやりあう奴なんて、久々だ。ああ、血が騒ぐぜ!」

ヒャハハハ、と笑い声を上げる。

「耳障りな笑い声だなあ……」

明らかに不機嫌そうな声が、聞こえた。
あ? とエルヴィスはディオンに目を向ける。
その隙を見て、フェイは再び剣を振り払い、距離をとる。

レクスの者たちは全員地面に倒れていた。まだ、死んではいない。
けれどそのまま放っておけば、確実に死ぬ。
奴らが最後まで苦しむように、ディオンはあえて一撃で殺さなかったのだ。

「餓鬼(がき)が。調子に乗るんじゃねえ」

「お前こそ、そんな調子だと……簡単に殺(や)られるぞ」

「黙れ!」

血相を変え、エルヴィスは叫ぶ。

「人工精霊の力を秘めていようと、所詮お前は子ども。力の差ってもんがあるんだよ!」

え…? とフェイは固まった。

「今、なんて……」

僅かに、声が震えている。

「お前、もしかしてまだ気付いてないのか」

滑稽(こっけい)だな、と笑う。