世界の終わりに、君は笑う




「ディオン!」

森の開けた場所に出たとき、フェイが叫んだ。
先の方で、ディオンは倒れている。仮面は外れていた。
すぐさま駆け寄ろうとした、そのとき。

「おっと、抜け駆けはさせねぇよ」

ヒャハハ、と笑い声が聞こえた。

「なっ……」

フェイの前に、国王の傭兵――エルヴィスが姿を現す。

「ようやく、見つけたぞ」

一足先に王宮を後にした数人のレクスの者たちもまた、姿を現した。
火傷の男だけが、いない。
ニヤニヤと笑いながら、レクスの者たちはディオンに近付いていく。

「ディオンに近付くな!」

フェイが叫ぶ。
咄嗟に剣を抜き、襲い掛かろうとしたが、エルヴィスの邪魔が入る。
刃(やいば)同士をぶつけあいながら、エルヴィスを睨みつける。

「ダスティは死んだ。もうお前は国王の傭兵でもなんでもない。だから……」

「端(はな)から俺は、国王なんかに従うつもりなんてなかったんだよ」

エルヴィスがフェイの声を遮った。
何だと? と眉を顰(ひそ)める。
その様子を見て、エルヴィスはヒャハハ、と笑った。