「ダスティは双子を捕まえ、我々を阻止し、自らがこの世界の独裁者になろうとした……。次第に、我々レクスにとって邪魔な存在となったのですよ。そして、ついには自ら人工精霊を生み出そうとしてしまった」
人工精霊(ワイバーン)が目覚めるまで、あと少し。
その前に、邪魔者は消さなければならない。
全ては、レクスが世界を支配するために――。
「この魔法は、本当に素晴らしい。一度でも精神世界(こころ)を壊してしまえば、もう元には戻らないのですから」
卑劣な奴らめ!
ぎり、と奥歯を食い縛る。
「さて、ダスティも処理したことなので、我々は撤退させてもらいますよ」
「そんなことはさせない」
フェイは剣を抜き、構える。
「我々には時間がないのです。邪魔するのならば――」
「なっ……」
刹那――フェイやアンネッテ、そしてディオンの体が動かなくなる。
三人の足元には魔方陣があった。
レクスの研究員である三人が、何かぶつぶつと言っている。
恐らく、その三人がフェイたちを抑えているのだろう。
「我々は一刻も早く、〝Ⅱ(セカンド)〟を捕まえなければならない」
「な、ぜだ…」
クックック、と火傷の男は笑う。


