太陽が辺りを照らしはじめた頃、ソファで眠っていたフェイは目を覚ました。
昨夜の話が頭から離れず、寝つけなかったのだ。

「人工精霊……そしてソレは欠陥だらけの化けモノ、か」

 もしそんなモノが世間に出てしまえば、人々はその化けモノによって大きな被害を受ける。
 怪我人が出ることはもちろん、多くの死者も出てしまうに違いない。

 それを分かっていて、陛下はレクスと組んでいるというのか?
 ……もしディオンの言っていたことが本当ならば、俺は騎士を続けられない。

民を一番に考える陛下だからこそ、俺は彼に心腹してきたのだから。

「もう起きたのか、早いな」

ちょうど着替えを終わらせたとき、フェイの部屋で眠っていたディオンが起きてきた。
まだ眠たいのか、目を擦りながら欠伸(あくび)をしている。
それはあまりにも、愛らしい姿だった。

一瞬、そんなディオンのことを可愛いと思ってしまったフェイは、すぐに否定するかのように小刻みに首を左右に振る。

「相手は男だぞ……」

あり得ない、と呟き、平常心を保とうとする。

「何か言った?」

「な、何も言ってない」

明らかに動揺していたが、ディオンは興味なさそうに、ふーん、と呟く。