心地いい風は海の香り。
まだ少し寒いな、と
苦笑しながら




ふっ、と頭を過ぎった
彼の笑顔に泣きそうになった。




「 ・・・・あき 」


『 ん? 』


「 今、あきが見えた 」




何度目なんだろう。
あきの言う私とあきの思い出の場所に
足を運んで、同じ場所に立つと
その時見た景色が頭を過ぎる。




ああ、そうだ。って
それから色々思い出して、




「 私、海で転んだんだ 」




それで初めて、あきと思い出を語る。
初詣、水族館、海。




次はどこなんだろう、と
目の前に広がる海を眺めながら
思い出に浸っていた。