飴細工

「ちょっと待ったぁ!!」


その声で日暮は現実に引き戻される



気がつくと目の前で門番が自分の行く手を塞いでいた


「お前、何処の女だ?ここから先は行けない。戻れ!それにしても、この門から堂々と出ようだなんてよほど肝が座ってんだな」



自分が今どういった状況なのか理解ができた日暮はまた来た道を引き返し始めた


ズルズルと着物の裾が砂埃をたてながら無我夢中で歩いてきた道を歩く日暮の顔には涙が浮かんでいる


少し冷静になった日暮は先程のことをふりかえる


あんなこと初見せが終わってしまえば日常茶飯事だろう


しかも、もう守ってくれるものは何もない


あの行動には続きがあるってことくらい遊廓にいれば子供でも知っている


そう思うと急に腹が痛くなってきた



キリキリというかズシンと何かがのしかかるようなそんな痛み


「くぅっ…」


道のすみにうずくまり痛む腹を擦る


「なんで…こんな……、あたしだけ……、もうやだよ……」


頬を伝う涙はきっと腹の痛みのせいだ


日暮はそう言い聞かせると声を上げて泣いた


誰が見てようが関係なかった

ただ、腹と胸の奥がズキズキして痛かったから


これで今日の記憶が消えてしまえと願ったから


ただひたすら
生まれたばかりの赤ん坊のように泣きわめいた