「何度も呼んだけど……上の空だった。体調悪い?」 「大丈夫だよ、ぼーっとしちゃっただけ。」 思わず考え込んでしまった。 奏には心配かけたくない。 「……ならいいけど。」 疑いの目をあたしに向けながらも納得したみたい。 絶対納得してないと思うけどね! 「お~い、奏!本番始まるぞ!」 向こうから奏を呼ぶ声がする。 「すぐ行きまーす!」 「行ってらっしゃい、奏。」 「行ってくる!」 奏に手を振って、あたしも観客席に向かった。