「そういえばろくに家に帰ってないかも。」


「心配してるんだから、無理しないでね。」


さらさらの髪を撫でつつ、疲労がみえる顔を見つめる。


「心配症だなあ葵は。そこが可愛いけど。」


「心配するのは当たり前でしょう?」


「だーいすきだよ、葵。」


奏(カナデ)は嬉しそうに笑い、また抱きついてきた。


……抱きつかれた時に奏の香りがして、ふとこの前のことを思い出した。


立花くんは柑橘系の香りだったなあ。


結局、立花くんと付き合うことになってしまったんだよねえ……。